松岡病院

佐賀県鳥栖市西新町。精神科救急、内科救急指定。認知症専門病院。佐賀県物忘れ相談ネットワーク登録病院。

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新着情報

くれないかい2月(新型コロナウイルスに関連感染症とは?)更新しました。

1月末現在での感染情報を整理してお伝えしましょう。

  • 2019年12月以降、中国湖北省武漢市から感染が拡大していた原因不明の肺炎患者について中国は2020年1月に新型のコロナウイルスに関連した肺炎と公表しました。
  • WHO(世界保健機関)は1月30日に2002年のSARS(重症急性呼吸症候群)や2012年のMERS(中東呼吸症候群)の時のようにパンデミック(世界的大流行)に広がっていると判断し、緊急事態の宣言を発令しました。
  • 1月31日現在、中国全土で感染者は9692人と1万人に迫り、死者は213人となっています。感染者数は2002〜2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸症候群)を上回りました。世界においては20以上の国と地域に拡大し120人以上の感染者が報告されています。
  • 日本においても国内感染者14例が確認され、日本は1月28日に新型コロナウイルスによる肺炎について「指定感染症」と閣議決定し政令施行を2月1日と前倒しました。指定感染症への指定は2014年MERS以来で5例目になります。これにより新型肺炎患者は強制入院や就業制限、入国者の検査指示が可能となりました。

 

 S N S等で不確かな情報が拡散される中で私たちは混乱せず、確かな情報でパンデミックが速やかに収束するように行動することが必要です。今月は刻々と事態が変わって行く新型肺コロナウイルス感染症について1月末現在で把握できた情報を整理し今私たちがすべき対策をお話ししましょう。

 

新型コロナウイルスとは?

 コロナウイルスは人に日常的に感染する4種類のコロナウイルスと動物から感染する重症肺炎ウイルスの2種類があります。風邪のコロナウイルスは冬に流行し、主に小児が感染しますが症状は軽症です。

重症肺炎を引き起こす2種類のコロナウイルスとは①2002年に中国で発生した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と②2012年にサウジアラビアで発生した中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)です。SARSはコウモリから人へ感染し30を超える国に拡大しSARS患者は8069人、うち775人が重症の肺炎で死亡しました(致命率9.6%)。MERSはヒトコブラクダから人へ感染し27カ国で2494人の感染者が報告され(2019年11月30日時点)、そのうち858人が死亡しました(致命率34.4%)。ヒトからヒトへの伝播も限定的ですが、年に数回程度、病院内でスーパースプレッダー(多くの人へ感染を拡大させる者)を介した感染拡大が起こっています。

今回中国から発生した重症肺炎は新型コロナウイルス(2019-nCoV)による肺炎と診断されました。

 

新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症による症状と感染源

 WHOの情報によると、潜伏期間は1日から14日、症状は発熱、咳、鼻水などの上気道感染症状から下痢などもみられるようです。一部重症化して呼吸困難など肺炎や腎機能障害に至るようですが、死亡例は高血圧や糖尿病など持病がある方と報告しています。感染源はコウモリのウイルスの可能性があると報道がありますが、まだ特定されていません。症状のない潜伏期間にも感染する可能性が高いとされ人から人への感染も確認されています。感染様式は接触感染、飛沫感染と考えられ空気感染の能力は持たない可能性が高いとされていますが、飛沫核からの空気感染の可能性もあり、予防として感染者、疑い者のマスク着用が重要でしょう。正確な致死率や重症化率の調査が進行していますが、SARSと比較すると患者一人から感染する人数は1.4人〜2.5人(SARSは3人程度)致死率2.3%と低く、重症化率は20%で同程度と推測されています。しかし実際はもっと高いのではないか考えられています。現時点では中国以外での死亡者はなく市中における感染拡大が起きているとの報告はありませんが、ウイルスが変異したりすれば変動する可能性があります。

 

医療機関の新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症に対する

感染予防対策

 2月1日より指定感染症として、各医療機関は政令にしたがって対応を行います。新型コロナウイルス関連感染症の疑い患者、接触者への対応は保健所へ届け出を行い指定医療機関(鳥栖三養基地区は東佐賀病院)への移送し診察、検査となります。感染者、発症者は医師の指示にて入院及び自宅療養、自宅待機などの指示となります。現時点ではウイルスに対する特効薬はありません。対処療法で治療を行います。感染様式、潜伏期、症状が確定していないため予防対策は困難ですが、国は新型インフルエンザ対策と同様に空気感染のリスクも考慮して万全対策を考え準備をしています。

 

個人が行う新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症に対する予防対策

  • 厚労省及び国立感染症研究所、県医師会等のH Pを随時ご覧いただき投稿されたSNSなどからの不確実な情報に惑わされずに行動してください。 
  • 中国からの渡航者及び渡航者と濃厚接触した人はまず保健所へ連絡し、保健所からの指示にしたがってください。指定医療機関へ受診の指示があります。
  • 現時点ではインフルエンザ流行時期でもあり、インフルエンザ感染予防対策と同様に咳エチケットに準じて、マスク着用、手洗い、アルコール消毒を励行しましょう。健康管理に気をつけて感染症の情報が落ち着くまではできるだけ人混みへの外出は控えることが良いでしょう。

 

*厚生労働省の電話相談窓口 

03-3595-2285(9時00分~21時00分、土日・祝日も実施)

  2020/02/04   matsuoka