今年も暑い暑い夏がようやく過ぎたと思った途端、秋雨前線の豪雨に息つく暇もありません。皆さん、心身ともに大丈夫でしょうか?ここ数年は秋も短くなったように感じますが、きっと冬の前にスッキリとした気持ちの良い時期がやってきます。ぜひ疲労した身体をリフレッシュしていきましょう!
さて、今月は昭和から平成の時代に劇的な進歩を続けた糖尿病の治療の歴史と、これから令和時代に期待される新しい糖尿病の治療について少しご紹介いたしましょう。
糖尿病の治療の歴史と進化
1922 インスリン治療開始
1954 ビグアナイド薬発売
1957 SU薬発売
1961 メトホルミン発売
1971 グリベンクラミド発売
1975 国内で人工膵島開発
1978 持続皮下インスリン注入療法の開発
1983 初のヒトインスリン発売
1984 グリクラジド発売
1988 ペン型インスリン注入器発売
1993 アカルボース発売
1997 トログリタゾン発売
1999 ナテグリニド発売
グリメピリド発売
2000 持効型インスリン発売
2001 インスリンアナログ製剤 超速効型発売
2009 DPP-4阻害剤発売
2010 GLP-1製剤 発売
2013 新世代持効型溶解インスリン発売
2014 二相性インスリンアナログ混合製剤発売
2015 SGLT2阻害薬発売
週1回DPP-4阻害薬発売
2017 DPP-4阻害薬とビグアナイド薬の配合薬発売
2018 フラッシュグルコースモニタリングシステム発売
DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合薬発売
糖尿病治療の歴史は1921年にインスリンが発見され、翌年バンチング博士が犬から抽出したインスリンを14歳の1型糖尿病患者に投与したことから始まります。インスリンのアレルギー反応に対して抽出の精製度を高め、牛や豚のインスリンからようやくヒトアナログ製剤へ進化を遂げました。ヒトアナログ製剤になってからは薬の作用時間は超速効性、持効型、二相性混合製剤までラインナップしました。インスリン強化療法の頻回注射から持続皮下インスリン注入療法へと治療の質の進化もさらに進んでいます。内服薬も約50年前は古典的なインスリン分泌薬やビグアナイド治療薬しかありませんでしたが、糖尿病の原因病態に合わせて7種類の選択が可能となりました。毎日服用薬から週1回服用できる薬、二種類を組み合わせた配合剤など患者の生活に合わせた糖尿病の治療の進化は止まりません。
糖尿病治療の未来
- SAP療法の普及と進化
インスリンポンプにリアルタイムでグルコース濃度を把握できる機能を組み合わせたSAP療法によってきめ細やかな血糖コントロールが可能になるでしょう。
- バイオ人工膵島移植
特殊なカプセルで包まれた無菌豚の膵島を移植する治療で1型糖尿病の根治に近いとされています。
- 再生医療! iPS細胞から膵島を作成
すでにヒトiPS細胞からヒトの膵島と同じようにインスリンとグルカゴンを作る組織を作ることには成功しています。将来の再生医療は糖尿病医療の応用に期待されています!
低血糖を回避できるように適正な血糖値を維持できるように新薬の開発は続けられています。しかし、病気の発症の原点に戻ってみましょう。食事と運動、ストレス管理、自分の身体を自分で守ること、忘れないで!そして未来の治療を期待しましょう。