令和元年となりました。平成天皇ご存命中に年号が変わることは日本にとって歴史的なことですが、在位中に次の時代を深く想われた平成天皇の退位のご決断はこれからの日本のあゆみ方の道標になると個人的に思っています。
さて、令和元年、皆さんは何を思い歩まれますか？あゆみ方は人それぞれですがご自身の健康を確認してからの第一歩は如何でしょうか？今年度も特定健診が行われます。企業健診も始まっている事と思います。今年は健診結果をしっかり確認してください。健やかなあゆみになるためにも今月はあらためて健康診断の結果の見方についてお話しましょう。
労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目企業健診の内容
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
以上の検査内容は雇入時、定期、特定業務等によって異なり、医師の判断によっても個々の労働者ごとに省略が可能となる場合もあります。また、企業によっては企業補助をするオプション検査もあります。身体にも金銭的にもメリットになりますので前向きに受けましょう。
体重検査の考え方
一般的に適正体重は身長（m）╳身長（m）╳２２となります。
例えば身長１６０cmの人は１．６╳１．６╳２２＝５６．３２Kgになります。
少し重すぎるように思われますが、この体重は目安になります。もともと痩せ気味の人が太る必要はありません。おおよそ２０代から１０kg以上体重が増えている人は生活習慣病のリスクが高くなっていると考えていいでしょう。
血圧測定の考え方
２０１９年高血圧治療ガイドラインでは高血圧の基準値は１４０／９０mmHgです。しかし、年齢や合併症によって降圧目標値が異なります。また、健康診断時だけの血圧で診断や評価は行いません。血圧測定は別の日、複数回の検査結果で判断します。また診察室血圧よりも家庭血圧の方がやや低く家庭血圧が優先されます。
貧血検査の考え方
血色素量および赤血球数を検査します。主に基準値より低い場合に貧血の疑いになりますが、貧血にも鉄やビタミンなどの欠乏のほかに腎臓病による貧血、血液疾患による貧血もあります。必ず精密検査を受けましょう。
肝機能検査の考え方
AST,ALT,γ―GTPを測定します。ウイルス肝炎や脂肪肝、薬剤性肝炎、アルコール性肝障害などを疑いにて異常となります。肝臓は痛みが出にくい臓器です。肝臓癌の早期発見のためにも精密検査では腹部エコー検査を受けましょう。佐賀県は肝癌死亡率１位です。現在C型肝炎は内服薬で治る病気です。佐賀県ではC型肝炎ウイルス検査は無料で受診することができますので必ず受けましょう。
血液脂質検査の考え方
LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪を測定します。一般にLDLコレステロールは悪玉コレステロール,HDLコレステロールは善玉コレステロールといわれます。中性脂肪は肥満者や糖尿病、飲酒量が多い人が高くなります。性別、年齢、合併症によってコントロール目標値が異なります。
血糖検査の考え方
８〜１０時間空腹時の血糖値は１００mg／dl未満です。食後でも１６０mg／dl以上になることはほぼありません。糖尿病の診断は空腹時１２６mg／dl以上およびHbA1c６．５％以上の指標で判断します。しかし、空腹時は低くても食後血糖が高い場合は心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。最近は糖尿病は癌や認知症のリスクにもなっています。少しでも高い場合は必ず精密検査を受けましょう。
健康診断は継続して受けることが大事です。検査結果が正常値内にあることが必要ではなくて、自分の検査結果を点ではなく線で知っていることが大事です。検査結果に一喜一憂する必要はありません。線の傾きが見えれば精査をすれば大丈夫です。
さぁ！新しい年の幕開けです。みなさんにとって令和元年が心身ともに健康で明るい年になりますようにしっかり健康サポートをしてまいります。
