猛暑かと思えば突然豪雨になり冷え込み、一日の気温差が10度以上になったりと季節変わりが落ち着かないようです。地球環境の変化だけではなく、人類の自然に反した行いによるバランスの乱れによるものかもしれません。地球の一部である人類も地球のすべてと共存してしなやかに生きていくことがとても大切に思うこの頃です。
さて、私たちの体も同じです。4月より痛みシリーズで頭痛、肩こり、そして今月は腰痛・膝痛をお話します。体と都合よく付き合うことは、年齢とともに減少していく筋肉、増える脂肪、疲労する骨や関節の変化を肯定的に理解することです。それでは、痛みシリーズ最終話として国民病「腰痛・膝痛」対策をお話ししましょう。
腰痛の原因は?多くの腰痛は原因が特定できない非特異的腰痛?
腰痛の原因は①脊椎由来②神経由来③内臓由来④血管由来⑤心因性に大別されます。
脊髄由来として診断されることが多いのは椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症です。しかし、「腰が痛い!」と病院でレントゲン写真を撮って「骨が変形していますね~、ヘルニアのようですね~」と画像上診断されたとしても実は本当にその変化が痛みの原因と特定できるのは約15%といわれています。当院でもレントゲン上中等度以上の腰椎の変形があっても痛みなくしっかり歩かれる元気な高齢者は珍しくありません。実は画像上の所見と腰痛の症状が一致しない非特異的腰痛が全体の約85%を占めています。
原因が特定できる特異的腰痛
- 安静にしていても疼く
- 鎮痛剤を一ヶ月服用しても痛みが取れない
- 転倒やしりもちをついた後痛みが取れず苦痛
- お尻からひざ下まで痛みが広がる
- 肛門や性器の周囲が熱くなる、しびれる、尿が出にくくなる、漏れやすい
- 踵歩きがしづらく足の脱力がある
これらのような症状があるときは骨折や感染症、腫瘍や神経の障害によるものなど危険な特異的な腰痛となります。すぐに専門医に受診しましょう!
非特異的腰痛の原因は?
持ち上げや前屈み動作が頻回となるような人間工学的な要因と職場や家庭においての人間関係やストレスが高い場合に起こる心理社会的な要因があります。最近働き方改革で問題化している長時間労働や、介護疲れも腰痛・膝痛の大きな原因になります。
近年心理的なストレスが脳の機能異常をもたらし抑うつや睡眠障害だけではなく様々な身体的不調をもたらし、身体活動不足から運動器の機能異常となり負のサイクルを回していることが明らかになって来ました。
身体的不調は身体化徴候とよばれ非特異的腰痛として現れやすいのです。
非特異的腰痛の治療と対策!
非特異的腰痛に対しては「とりあえず安静」はすすめられません!
長くても3日目には動きましょう!安静にしておくと動いたときの痛みが恐怖心となってさらに腰痛を悪化させます。痛み止めの薬はかかりつけ医の指示に従って適切に使い、痛みを緩和させつつしっかりストレッチ体操をしましょう!
これだけ体操!
「これだけ体操」という公益財団法人長寿科学振興財団のHPに改善度の高い約3秒の体操があります。ご紹介しておきます。
4月から痛みシリーズをお話ししました。痛みは体も心も疲弊させます。原因が特定できない痛みに対しては出来るだけ早期に継続的に体操をしましょう!
良い汗をかくと自律神経もよくなり代謝改善にもなります。「病は気から」間違いではありませんよね。