〜新型ノロウイルス流行の兆しにご注意！〜 
今年も残すところ一ヶ月、師走と聞くだけで心さわぐのはどうしてでしょう？自分から忙しくしないように、まずは健康管理を万全にしましょう。今年度はインフルエンザの流行の一足先に新型ノロウイルス流行の兆しが見られています。今年の締めを元気に過ごすために、新型ノロウイルス予防についてお話ししましょう。
新型ノロウイルスとは?
冬に流行するウイルス感染としてよく知られているのはノロウイルスによる急性胃腸炎です。２００６年と２００１２年に大流行し、２０１６年〜２０１７年にかけても大流行の兆しとなっています。２０１２年に大流行したノロウイルスは２００６年のノロウイルスが変異した「新型ノロウイルス」だったのです。ノロウイルスに繰り返しかかると抗体ができ重症化のリスクは少なくなります。しかし、新型ノロウイルスは遺伝子変化により別物となっているため、感染力が高く免疫力が高い大人でも胃腸炎を引き起こす可能性が高くなるのです。しかし、新型ノロウイルスといっても治療、予防対策は同じです。
ノロウイルス感染症とは?
ノロウイルスはウイルス性食中毒を引き起こす原因のひとつで、冬場に起きる食中毒の大半を占めると言われています。人の腸管内だけで増殖し、感染力が高く少量でも発症します。感染から１〜２日で吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸症状を発症します。発熱は軽度で、通常は数日で改善します。感染経路は接触感染ですが、おう吐物により飛沫感染や空気感染も起こします。
感染性胃腸炎の流行状況
国立感染症研究所による定点あたりの報告数のグラフです。２００６年、２０１２年の大流行に次ぐ勢いで２０１６年の報告数が伸びてきています。９月ごろから増えだし、感染のピークは１２月、その後次第に落ち着きますが春頃までは感染が絶えません。
治療法及び予防法は？
現時点ではノロウイルスに効果的な抗ウイルス剤はありません。変異した新型ノロウイルスに対しても対処療法になります。何よりも安静、水分・栄養補給が大事です。胃腸薬を処方することもありますが、下痢止めは病状の回復を遅らせるために原則的には使用しません。症状が治まっても１〜２週間ほど便中にはノロウイルスがいます。手洗いの徹底など、注意を怠らないでください。
予防は何と言っても食事前、調理前、トイレに行った後の手洗い・うがいが基本です。また、ウイルス対策には食品の加熱処理が有効です。ノロウイルスの感染の恐れのある牡蠣などの二枚貝の食品は９０度以上９０秒でウイルスは失活化します。調理器具を家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素生漂白剤で浸すようにふくことも効果的です。吐物などの処理には十分に気をつけましょう。飛び散った吐物の処理は手袋、マスクをつけて、ペーパータオルで静かに拭き取り、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き取り、その後水拭きをします。汚物はビニール袋に密閉して破棄しましょう。ノロウイルスが乾燥すると空気中に漂いますので、十分な換気が必要です。これは当院で作成している吐物処理のための「きれいにし隊！」感染グッズです。院内ではウイルスを遮断するためにパックを利用して吐物処理を行っています。ご家庭にもワンセットご用意すれば万一の時に安心です！どうぞご参考にしてくださいませ。今年の冬もお元気で！
