平成も残すところあと5か月となりました。平成30年間はみな様にとって如何だったでしょうか?平成経済の前半はバブル崩壊から長い低迷期となりました。果たしてアベノミクス効果か否かは異論のあるところでしょうが、徐々に株価は回復し最高値を更新、失業率も改善しています。東京オリンピック前に都市圏では土地価格の上昇と高層ビル建設ラッシュとなっていますが、人材不足は危機的状況で働き方改革はなかなか厳しい現状です。医療では加速していく少子高齢化に世界一の国民皆保険がどこまで守れるか各国が日本の取り組みを見つめています。AIを取り入れた先進医療と人生100年をフレイルの期間をいかに健康長寿で生きていくか、叡智を結集するときでしょう。その中で最も明るい平成医療界の出来事は生理学・医学ノーベル賞に平成30年間に4人(山中伸弥先生、大村智先生、大隈良典先生、本庶 佑先生)もの受賞者を輩出したことでしょう。今やiPS細胞なくしては未来の医療は語れないと思います。
そこで平成最後の師走に、あくまで個人的な見解で偏りがあるのを了承していただき、平成30年間の医療界ざっくりと振り返ってみたいと思います。
平成の医学史
H 1年 |
凍結受精卵ベビー誕生 日本初生体部分肝移植を実施 |
H 8年 |
薬害エイズ訴訟和解 らい予防法廃止 |
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日本初生体小腸移植を実施 O-157世界最大規模の食中毒発生 |
H 9年 |
臓器移植法成立 |
H10年 |
日本初生体肺移植を実施 世界初のクローン牛誕生 |
H11年 |
厚生省が電子カルテの正式な診療録として承認 |
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感染症予防・医療法施行 エイズ予防法、伝染病予防法廃止 |
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厚生省 結核緊急事態宣言 |
H12年 |
クローン技術規制法成立 |
H13年 |
日本で初めてESB(牛海綿状脳症)の感染した牛が確認 |
H14年 |
保健婦助産婦看護婦法の改正「看護婦」が「看護師」に名称変更 |
H15年 |
WHOがSARS(重症急性呼吸器症候群)の世界警告 1類感染症 |
H16年 |
日本初の膵島細胞移植を実施 |
H17年 |
ツベルクリン反応検査廃止 |
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日本で初めて国産人工心臓の手術が実施 |
H18年 |
政府がH5N1インフルエンザを指定感染症に指定 |
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ニコチン依存症の禁煙治療の保険適応 |
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がん対策基本法成立 |
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山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製に成功 |
H19年 |
結核予防法廃止 予防接種法に統合、他の規定は感染症予防・医療法に統合 |
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厚労省がカプセル内視鏡の輸入を承認 |
H20年 |
特定健康診査・特定保健指導開始 |
H21年 |
メキシコ発生の新型インフルエンザA・H1N1が日本でも流行 |
H26年 |
世界初のヒトPD-1モノクローナル抗体医薬品ニボルマブ(オプチーボ)が承認 |
H29年 |
世界初のiPS細胞臨床適応例として網膜の細胞を移植 |
平成29年の日本の死亡原因は一位がん、二位心疾患、三位脳血管疾患、四位老衰五位が肺炎となっています。一方人生100年と言われ、将来的には支障をきたすようになった臓器を自分の細胞で再生し取り替えることが出来るようになるでしょう。医療の進歩は加速し、人々は多くの苦しみから解放されるでしょう。
しかし命は無限ではありません。不老不死でもありません。使い捨てではなく私たちの命を大切に、人類の命を尊んで後世に生かしていくこと。医学・医療とは人類の笑顔のために進化していくものと思います。
平成30年最後の年を納める師走に過去と現在、そして未来を考えてみました。どうか体調にお気をつけて走らずに、1日1日心地よく健やかにお過ごしくださいませ。
今年も大変お世話になりました。新年度からもよろしくお願いいたします。