松岡病院

佐賀県鳥栖市西新町。精神科救急、内科救急指定。認知症専門病院。佐賀県物忘れ相談ネットワーク登録病院。

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くれないかい6月分(ライフスタイルに合わせた薬物療法)更新しました。

ウィークリー製剤の選択の時代へくれない6-1.jpg

 すでに猛暑日が記録されるなど、年々春が短く暑い夏を長く感じるようになりました。今年は昨年よりさらに猛暑との予想です。体調管理に十分お気をつけください。

   さて、現在、糖尿病の治療薬は7種類の内服薬と2種類の注射薬があります。今月は糖尿病治療薬で話題となっている週1回服用で毎日服用するお薬と同程度の効果を示すといわれているお薬(ウィークリー製剤)についてご紹介してみましょう。

現在処方が一番多くなっているインクレチン関連薬

    現在糖尿病治療薬で最も処方されているのは2009年に登場したインクレチン関連薬です。インクレチンとは自分の膵臓からのインスリン分泌を促進するホルモンです。インクレチンはインスリンとは異なり、血糖が高い時にインスリンの分泌を促進します(血糖依存的と言います)。よって、インクレチンを増強するインクレチン関連薬は単独では低血糖の可能性が少なく、リスクの少ないお薬と言えます。インクレチン関連薬にはDDP-Ⅳ阻害薬(経口薬)GLP-1受容体作動薬(注射薬)があります。経口薬のDDP-Ⅳ阻害薬が現在糖尿病治療薬の中で最も多く処方されているお薬です。

週1回投与が可能になったインクレチン関連薬の登場

    2015年5月より週1回経口投与のDDP-Ⅳ阻害薬(トレラグリプチン・オマリグリプチン)、8月より週1回注射薬として持続性GLP-1受容体作動薬(デュラグルチド・エキセナチド)が登場し、糖尿病治療薬も週1回製剤(ウィークリー製剤)の時代がやってきました。週1回でいずれもインクレチン関連薬です。特に経口薬のDDP-Ⅳ阻害薬はライフスタイルに合わせた投与が可能となり、現在追跡調査として効果とともに、患者さんの使用状況の報告がされています。

 

週1回投与の期待と不安

   実は発売当初は食事の際に意識するという役割も込めた糖尿病治療薬は毎日、あるいは食事の際に服用することが自己管理のポイントにもなっており、週1回投与は如何なものか?と思っていました。しかし、発売2年を経過し、患者さんの選択の幅を広げたお薬になっていることを5月に開催された日本糖尿病学会においても確認ができました。現在報告されている患者さんのお薬への期待と不安です。

    期待

  • 週1回で便利である(休日、例えば大河ドラマの時に服用するなどと決めれば忘れこともなく、平日薬を持ち歩く必要がない)
  • 服用薬が少なくなった(単純に週7錠あるいは14錠が週1錠へ)
  • 薬剤費の減少(週1回のお薬の方が若干安くなります)
  • 飲み忘れがなくなり、血糖が改善した、継続ができそうである
  • 在宅医療や施設入所者には服用管理が行いやすい

    不安

  • 服用忘れ
  • 糖尿病治療のモチベーションが下がって血糖が悪化する

患者さんがライフスタイルに合わせて治療を選択する時代に

    年々増加の一途である糖尿病ですが、実は患者さんの約半分が十分な治療を受けていないか、治療中断者という現状です。若い人は時間がないというのが未受診者の主な理由です。また一方では高齢者の治療薬が数も種類も多いことが問題とされています。症状が悪化してきたかと思ったら、実は家の中に沢山お薬が残っている?ということも現実です。

 毎日の服用が確実な患者さんには毎日服用のデイリー製剤が良いでしょう。多忙で忘れやすい方、服用薬が多い方、在宅や施設では週1投与のウィークリー製剤が良いかも知れません。有効性が同等であれば、時代は患者さんのライフスタイルに合わせた選択が可能になってきたのです。

  当院は院内処方ですから取り扱い薬には限りがありますが、できるだけ患者さんのニーズにお応えしていきたいと思っていますので、ご相談ください。

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  2017/06/02   matsuoka