松岡病院

佐賀県鳥栖市西新町。精神科救急、内科救急指定。認知症専門病院。佐賀県物忘れ相談ネットワーク登録病院。

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新着情報

くれないかい2月分(3月12日から改正道路交通法が施行されます!)更新しました。

  最近高齢者による自動車事故のニュースが目立つようになりました。来月よりリスクが高い運転者対策として、高齢運転者の対策が実施されます。今月は一足先に改正道路交通法により新設された臨時の認知機能検査、臨時高齢者講習のご紹介をしましょう。

高齢運転者が関与した交通事故発生状況(平成27年中)

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 警視庁交通総務課統計によりますと、交通事故件数は年々減少し、10年間で半数以下となっています。一方65歳以上の高齢運転者が関与する交通事故の割合は10年前の約1.9倍!75歳以上の高齢運転者による平成26年の交通死亡件数3639件のうち12.9%を占めており、10年前の約2倍となっています。そのために打ち出された対策が、3月12日スタートされる改正道路交通法です。

改正のポイント

 運転免許更新の際に75歳以上の人は認知機能検査を受けなければなりません。また、一定の違反行為を行った時も75歳以上の人は認知機能検査を受けなければなりません。そこで認知症の恐れがあると判断された場合は臨時適性検査(専門医注意の診断)を受けるか認知症専門医などによる診断書の提出が必要になります。この検査を受けなかった時は免許の取り消しまたは免許停止処分になりますので注意が必要です。

日本認知症学会と日本老年精神医学会のホームページで認知症専門医の情報を得ることができます。もちろん、当院にも専門医がいます。臨時適性検査または診断書提出など、詳しい検査内容、費用等は現在、県で検討中です。詳細が分かりましたらお知らせ致します。

認知機能検査の内容は?

 ①「時間の見当識」や②見たものを一定時間後に記憶しているかという「手がかり再生」③時刻通りに時計の針を描く「時計描画」をおこない総合得点によって高齢者講習と臨時適正検査または診断書提出が必要な方に分けられます。

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高齢者講習の合理化・高度化とは?

 認知機能検査の結果によって受ける講習の内容がかわります。高齢者講習は75歳未満の方や、認知機能検査で認知機能の低下のおそれがないと判断された方に対しては講義、適性検査、実車指導の2時間に合法化(短縮)されます。その他の方に対しては個別指導を含む3時間の講習(高度化)となります。

 高齢者の運転に関しては非常に個別性の高い問題です。運転免許証は大事な身分証明証であり、日常生活を保障するための不可欠な許可証です。車がなければ生活が成り立たない方もいます。国の支援があってこその改正が必要ですし国のさらなる支援に期待します。しかしながら、昨年75歳以上の高齢者が起こした死亡事故を検討した結果、4割以上の人に「認知症のおそれ」「認知機能低下のおそれ」があることも事実です。

 私たちは認知症の方によって奪われた命のことを考えなければなりません。認知症と診断されると自己責任能力にも審議が必要になります。亡くなった命が未来の日本を支える幼い命であれば、子や孫であれば。。。

 まずは検査をうけましょう。そして、多くの方が目先の便利によりも将来のための回り道を、人生の日暮れどきにこそ、足を止めて美しい夕焼けをゆっくり眺めるゆとりを持って心豊かに生きていただきたいと願うばかりです。

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  2017/02/04   matsuoka