すでに蒸し暑い真夏日が続いていますが、、みなさま体調管理はいかがでしょうか？
５月末に日本糖尿病学会に行ってまいりました。お目当ては学会で発表される高齢者糖尿病のコントロール目標！さっそく新しい目標を皆様にお伝えいたします。
高齢者糖尿病として新たな目標を検討したのはなぜでしょう？
下記は２０１３年に熊本宣言で新たに発表された血糖コントロール目標です。
これまで詳細に目標値を設定していたHbA1cをわかりやすくし、あなたとあなたの大切な人のためにとして、上記のように患者さんにも医師が説明する際も大変わかりやすい目標となりました。しかし、超高齢化が進む中で、高齢者といっても個人差が著しいこと。重症低血糖が認知機能障害や心臓病や脳梗塞のリスクにもなり得ることが問題となっていました。そこで、２０１５年４月より日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会が設置され、高齢者糖尿病の血糖コントロール目標に関して議論を重ね、さらには日本の大規模研究や、海外の論文を参考に日本独自の目標を作成し２０１６年５月２０日に学会で発表されたました。
では！ご紹介しましょう！ 
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標（HbA１c値）
治療目標は、年齢、罹病期間、低血糖の危険性、サポート体制などに加え、高齢者では認知機能や基本的ADL、手段的ADL、併存疾患なども考慮して個別に設定する。ただし、加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなることに十分注意する。（高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会）
基本的な考え方は！ 
- 血糖コントロール目標は患者の特徴や健康状態、年齢、認知機能、身体機能、併発疾患重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定すること。
- 重症低血糖が基部される場合は目標下限値を設定し、より安全な治療を行うこと。
- 高齢者ではこれらの目標値を参考にしながらも患者中心の個別性を重視した治療を行う観点から表に示す目標値を下回る設定や上回る設定を柔軟に行うことを可能にしたこと。
治療は数字を合わせることではありません。特に高齢者においては、余命をその方らしい生きがいのある人生にしていくかが何よりも大事です。大変考えさせられた学会でした。それでは！診療室でお一人おひとりの目標値を設定してまいりましょう。