来年度より診療の範囲が拡大するって？
なにがどうなるの？
今年はとても厳しい冬でしたが、ようやく春の訪れのようです。しかし、数年前と比べると一年中寒暖差が大きく不安定な気候になっているように思えます。まるで世界経済や政治を反映しているように思うのは私だけでしょうか？
さて、来年度の保険改訂が発表されました。当院の診療に影響する事は現在、確認作業中です。一方、混合診療の一部解禁などニュースになりました。そこで、今回は先進医療、そして、保健診療と混合診療についての基礎をお話しましょう。
保険診療とは？
健康保険が使える診療です。特例以外は患者は診療費用の３割を負担し７割を保険者が負担します。
自由診療とは？
健康保険が使えない診療です。患者が１０割すべてを自己負担します。予防接種などがあります。
混合診療とは？
保険診療と自由診療を併用する診療です。日本では原則認められていませんが、差額ベット、治験、薬事法で承認されているが保険適用になっていいない薬や医療機器の使用、時間外診療、大病院の初診費用、先進医療などが例外として認められています。
先進医療とは？
厚生労働大臣が認めた保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用する医療制度です。膨大な費用のかかる先端的な医療を保険でカバーすることは困難です。よって、国民な安全性を確保しつつ国民の選択肢を拡げ、患者負担を防止する観点から保険医療との併用を認めた制度です。高度医療技術に関する費用は患者が全額負担し、入院基本料などの費用に関しては「保険外併用療養費」として医療保険で給付される混合診療になります。皆さん、ご存知のサガハイマットの重粒子線がん治療も先進医療になります。
２０１６年度から変わる新制度とは？
「患者申出療養」という混合診療制度です。患者申し出によって国内で未承認の薬などが自由診療で使えるようになります。現在先進医療として認められています治療法や薬に関しても保険診療分は３割負担で受けることが出来るようになります。もちろん、安全性の審査を経て開始され、効果判定をされに審査します。患者申出診療の大きな特徴は患者希望がスタート地点になるということです。患者にとっては負担は大きくても治療を受けやすくなりますが、安全性の確保や、患者自身の選択責任という覚悟が必要になります。また、混合診療が広がると薬の価格が高いままになる可能性も指摘されています。
みなさまより、医療制度は難しくてよく分からないというご意見を頂きます。私たち医療者も医療改訂ごとに振り回され、改訂ごとのアップデート作業も年度末ぎりぎりに出ますので、正直悩ましい限りです。今回は当院では適応のない先進医療、患者申し出による混合診療について簡単にお話を致しました。しかし、今後、一般診療、デイケアや在宅診療にも診療改訂の影響がやってきます。出来る限りわかりやすい情報を発信するよう努力してまいりますので、どうぞお尋ねくださいませ。
治療は賢く！一番の治療は自己管理！（これが一番難しいですね）
