松岡病院

佐賀県鳥栖市西新町。精神科救急、内科救急指定。認知症専門病院。佐賀県物忘れ相談ネットワーク登録病院。

24時間受付 0942-83-4606

新着情報

くれないかい2月分(フレイルとは?)更新しました。

 暖かいお正月から一変、1月末には雪国になった九州です。気温の変化が大きく、体調も不安定になります。インフルエンザもさぁ!主役の出番が来たぞ!とばかりに流行の勢いをつけてきていますので、日頃の手洗い、うがい、マスクを忘れずに予防対策を万全に2月を乗り切っていきましょう!

 

 さて、みなさまは「フレイル」を聞いたことはありますか?「ロコモティブシンドローム」「サルコペニア」については以前にお話ししたこともありますが、今、新しい概念として注目されています。今月は「フレイル」についてご紹介をしてみましょう。

フレイルとは?

 平成26年5月に日本老年医学会は高齢者が筋力や活動が低下している状態を「フレイル(Frailty)」と呼ぶことを提唱しました。高齢期に生理的予備能力が低下することによってストレスに対する脆弱性が亢進し機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態です。フレイは転倒しやすくなるなどの身体的な問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念です。フレイルについては世界的に議論されていますが、現在、明らかな定義や診断基準は確立していません。日本語訳も「虚弱」が使われていましたが、「老衰」「衰弱」「脆弱」など、不可逆性な印象を与えていました。要支援や要介護の危険が高い状態ではありますが、適切な介入をすることによって生活機能の維持・向上が期待される時でもあります。再び健康な状態に戻るという可逆性が含まれていること、社会における認知度を上げ、介護予防の重要性を認識することを意図して、学会では虚弱ではなく「フレイル」を使用することに合意したのです。

フレイル.png

 

サルペニアとの違いは?

  「サルコペニア」は1989年にローゼンベルグによって提唱された概念です。加齢に伴って筋肉が減少する病態ですが、握力や歩行速度の低下など機能的な側面も含めた概念です。フレイルは身体的面、精神心理面、社会面を含む概念ですので、サルコペニアはフレイルの重要な要因になります。

くれないかい2月フレイル.png

 荒井秀典 国立長寿医療研究センター

 第2回プレスセミナー日本老年医学会

 

ロコモティブシンドロームとの違いは?

 「運動器症候群」とも言い、2007年日本整形外科学会が提唱したものです。筋肉や骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器の障害によって移動機能の低下をきたして、要介護になる危険性の高い状態になったりする病態です。ロコモティブシンドロームの基礎疾患の一つとしてサルコペニアがありますので、ロコモティブシンドロームもフレイルの重要な要因になります。

 

フレイルの評価

1.体重が減少

2.歩行速度が低下 

3.握力が低下 

4.疲れ易い 

5.身体活動レベル低下

これらの5つのうち3つが当てはまるとフレイルとみなされますが、日本では記憶力の低下なども考慮した評価表を検討されているようです。

 押し寄せる高齢化の波と膨れゆく高齢者医療費に対応するためには、やはり予防です。私自身、健康寿命を全うするためには、自分自身の心の、身体の声を聴いて、しっかり大地を踏みしめて自分らしい日々を過ごしていきたいと願っています。

 「鬼は~~外!」「福は~~内!」高らかに豆まきをして2月を始めましょう!

くれないかい2月1.jpg

 

 

  2016/02/06   matsuoka