厳しい冬からようやく梅の香りに乗って春の暖かさを感じるようになりました。新型コロナウイルス感染症は3年目となっても未だ変異をし続け、第6波はこれまでと比べられないほどの感染者と重症者を出し続けています。
松岡病院においてもホームページにてご報告していますように多数の感染者の発症となり皆様には多大なるご心配をお掛けいたしました。3月1日現在、新たな感染者は確認されていませんが、引き続き感染対策に万全を期してまいります。
令和3年度最後のくれないだよりは今回の感染拡大に対して多大なるご支援をいただいた方々へ心からの感謝を申し上げたいと思います。
佐賀県において第6波は医療機関のクラスター、特に精神科病院でのクラスター発生があり多くの感染者を出しました。昨年より沖縄県の精神科病院でのクラスター経験をもとに研修を受けてはおりましたが、実際の医療現場は想像を遥かに超えたものでした。職員一丸となって保健所の指導のもと必死に対策を行っておりましたが、当院で起因する感染だけでなく家族感染にて自宅待機者が重なり勤務可能なスタッフの数は危機的な状況に陥りました。その現状を知り、佐賀県内の複数の精神科病院よりすぐさま看護師の派遣をして下さいました。連日お見舞いや沢山の応援メッセージもいただきました。
松岡病院のモットーは「診る思いやり、看る気配り、心の息づく病院」です。日頃から、支えること、寄り添うことを第一に医療をしてまいりましたが、まさに各医療機関から派遣頂いたスタッフに支えられ、寄り添って頂き経験したことのない荒波をお陰様で超えることができました。言葉に言い尽くせないほどの感謝の気持ちで一杯です。
ようやく落ち着きを取り戻しつつある現場ですが、まだまだ疲労感の残るスタッフ達が「今度は恩返しをしたい!お手伝いに行きたい!」と口にしております。相互扶助の精神がこのコロナ禍で育っていることに感動すら覚えております。
また、24時間体制で対応頂きました鳥栖保健福祉事務所、佐賀県保健福祉部医務課のみなさま、一人一人の患者の病状に合わせたご配慮と丁寧なご指導をいただきました。そして肥前精神医療センターをはじめとする感染症指定医療機関、佐賀県新型コロナウイルス感染症対策プロジェクトMに参画された関係各位の皆様には、早急に対応頂き、中等症以上の患者の転院と治療をして頂きました。この場を借りて、支えてくださった全ての皆様に心よりお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
100年に一度の歴史に残る災害をまともに受け、ウイルスの脅威はもちろん医療者としての無力さも身にしみておりますが、人々のご支援があればこそ日々の医療が続けられること、医療を受けるものだけでなく医療提供者も救うのが医療であることをあらためて学ぶ尊い経験になりました。
この苦難を乗り越えて令和4年度が健やかでありますようにと願いつつ全ての皆様に感謝を申し上げて令和3年度最後のたよりにします。
心あるご支援を頂き誠にありがとうございました。