今年の梅雨は長雨が少ないようです。今年はどうか大雨被害が出ないようにと祈っております。さて、コロナワクチン接種の予約は順調に取れているでしょうか？佐賀県は最も順調に高齢者の接種が進んでいます。６４歳以下の住民にも順次接種券が発行されていますし予約枠のある医療機関はH Pで公開されています。順調に接種が進めば鳥栖市は冬前に希望者の接種が終了する予定のようです。私たち医療スタッフも年末年始の楽しい団欒を迎えることができる事を楽しみに日々ワクチン接種に勤しんでいます。
ワクチン接種が済まれた方、特に2回目は副反応として発熱を経験された方がいました。もちろん数日で改善されていますので問題はありません。でもこれから接種される方は若い人になりますので少し心配でしょう。そこで今月は発熱について簡単にお話ししましょう。
人間の体温は？
ワクチン接種前には必ず体温を測定します。そもそも成人の平均体温は36.6℃から37.2℃位です。気温や湿度、測定部位、時間でも異なります。乳幼児は少し高くなり高齢になると低くなり個人差があります。恒温動物であるヒトは一定の体温を維持することができます。体温は食物を体内で化学分解する際に発生する熱が源になります。さまざまなホルモン系、神経系などが体温を調整する働きをしているのです。
発熱は何度以上？
ある一定の体温上昇を発熱と言います。通常は脳内の視床下部という体温調節中枢によって一定の範囲で維持されている体内温度が、何らかの原因によって設定値が引き上げられた時に発生します。平均体温に個人差があるように何度以上が発熱になるかにも個人差があります。平熱より1.０℃以上体温が上昇している場合も発熱と言いますが、腋窩温で37.5℃以上、一般的には37.5〜37.9℃を微熱、39℃以上を高熱と言います。
発熱の原因は？
１、感染症 ２、炎症性疾患 ３、腫瘍 ４、その他に大別されます。最も一般的な原因は感染症です。細菌やウイルスなどの感染によって直接に発熱物質として作用したり、感染成立後に免疫担当細胞を刺激して発熱性サイトカインという物質を産生して発熱します。疾患によって生じる発熱は発熱以外に伴う症状を確認することが大事です。
ワクチン接種後の副反応として起こる発熱は？
ワクチン接種後に起こる発熱は副反応と呼ばれます。以前にお話ししたようにワクチンはウイルスそのものではありません。新型コロナワクチン（m R N Aワクチン：ファイザー製）はウイルスのトゲの作り方をコピーしたものをヒトに接種しています。
その結果、ヒトの体内でトゲに対する抗体が作られます。この抗体を作成する際に生体反応として生じるのが発熱です。副反応としての発熱は新型コロナワクチンだけではなくて、インフルエンザワクチンなど全てのワクチン接種の際には生じる可能性があります。
新型コロナワクチンは今までのワクチンよりも若干副反応が生じやすく、特に2回目の接種後は副反応が出やすくなります。これは１回目より強い免疫応答（生体反応）が起こるためです。しかし副反応の出現には個人差がありますので、副反応が少なかったからといって抗体が出来ていないということはありません。
副反応として起こる発熱の際の対応
厚生労働省は接種後、発熱などが出た場合に服用できる解熱鎮痛成分を公表しています。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬（イブプロフェンやロキソプロフェン）などがありワクチン接種後の発熱や痛み等に使用いただけます。ただし製品ごとに対象年齢が異なりますので十分確認して使用してください。
ただし予防のための服用は推奨されていません。
当院も6月に希望する職員のワクチン接種が終了しました。副反応に関しては若い人で局所だけの痛みだった人もいれば年配者で発熱した人もいてかなり個人差がありました。副反応は2～３日で消失しています。スタッフ一同無事ワクチン接種ができたことに安堵しながらも医療提供者としての責任を再確認しながら日々患者さんと向き合い続けています。
