新年あけて早々に11都府県に再び緊急事態宣言が発生される中、2月に入りようやく第三波のピークは超えてきたように思います。しかし宣言が解除されても数ヶ月後に再び第四波が押し寄せてくるのではあまりにも無知です。Withコロナとの生き方をこの一年の経験を無駄にせずに見つけていかなければいけません。その中で、もっとも期待しているのは予防接種です。すでに欧米では開始されワクチンの予防効果についての報告がされています。日本においても2月末頃より医療従事者から先行開始されます。皆さんに接種が始まるのは春以降とされているようですがやはり気になるのは副反応でしょう。今月は新型コロナウイルスワクチンについて、現時点で報告されている範囲内でお話ししたいと思います。
日本で接種される可能性の新型コロナウイルスのワクチンは?
- 米国 ファイザー社 Pfizerワクチン
- 米国 モデルナ社 Modernaワクチン
- 英国 アストラゼネカ社 AstraZenecaワクチン
以上の3つのワクチンです。すでに米国と英国では接種が始まっています。①②のワクチンはmRNAワクチン、③はウイルスベクターワクチンで最先端の製法です。
mRNAワクチンは病原体のタンパクをヒト自身に作らせて免疫をつけることができます。ウイルスベクターワクチンは病原体タンパクを作る遺伝子を無関係なウイルス遺伝子に組み込んで人の体内に入れて免疫をつけることができます。体内に入る元ウイルスはヒトには一切病気を起こさないウイルスが選ばれます。
ワクチンの効果は?
ワクチンの効果とは「接種しなかった群で感染した人数」から「接種した群で感染した人数」への「割引率」になります。つまり2万人の内接種を受けた1万人中5人が感染したとすると感染率は0.05%、接種を受けなかった1万人中100人が感染したとすると感染率は1.00%、感染率の減少度合い=割引率は95%といいます。
ざっくりと言うとワクチンを接種することで感染リスクが95%割り引かれると言うことになります。3つのワクチンの予防効果はPfizerワクチンは95.0%、Modernaワクチンは94.1%、AstraZenecaワクチンは62.1%~90.0%と公開されています。論文では3つのワクチンとも高い効果を示したといえます。ただし、現時点では妊婦、小児は対象外とされています。
ワクチンの副反応は?
有害事象に関しては3つのワクチンともワクチンとして当然予想される接種部位の疼痛や発熱などの反応性症状は多く観察されていますが、重篤な有害事象はほぼなかったとされています。しかしながら、認可後に米国でアナフィラキシー反応の有害事象が報告されています。1月6日に米国C D CよりPfizerワクチン100万接種当たり11.1件のアナフィラキシー反応が発生し、報告のあった21例中15例は接種後15分以内に発生したこと。17例はアレルギーの既往があったこと。1月10日にはModernaワクチン100万接種当たり2.5件のアナフィラキシー反応が発生し、報告のあった10例中9例は接種後15分以内に発生したこと。9例はアレルギーの既往があったことの報告がされています。なお、米国によるインフルエンザワクチンのアナフィラキシー反応は100万接種あたり1.41件とされています。
参考までに米国で報告された抗菌薬のペニシリンの薬剤性アナフィラキシー発生率は100万患者当たり4590件消炎鎮痛剤であるNSAIDsは1300件ですのでワクチンよりも日常的な薬剤の方が遥かにアナフィラキシー頻度が高いことがわかります。しかしながらやはり新しいワクチンです。これから各国での接種実績が集計されますので、副反応の報告を注意深く情報取集する必要があります。
ワクチンは感染予防対策となるのか?
現時点でわかっているのは、16歳以上の成人が接種することで60−95%の割引率で新型コロナウイルス感染症の発症を予防することができ、今のところ接種をためらうような重篤な有害事象は明らかではないということです。そのために重症化しやすいリスクの高い人々が優先的に接種をすることが望ましいとされています。すでに報告されている変異株におけるワクチン効果も今からの検証待ちですし、ワクチンによって集団免疫が獲得されて、パンデミックが収束するか否かはまだまだ不明ですが、個人的には期待したいと思っています。
しかし、ワクチン接種を行っても3密をさけ感染対策を継続することは必要です。いわゆるインフルエンザや、風邪症候群の流行が極端に減少しているのはこの日々の感染対策による効果によるものだということは間違いないでしょう。感染対策の基本は手洗い、マスクに代表される接触、飛沫感染予防なのです。
当院での医療スタッフでのワクチン接種が開始されましたら、ご報告をしたいと
思います。どうぞ、このコロナ禍で気持ちを折れずに日々をお過ごしください。
コロナ退散!