大型台風が通り過ぎて景色は一気に秋色に変わりました。第二波のコロナ感染者も減少している今、澄んだ秋空のもとで思いっきり深呼吸をしてみませんか?皆様もそろそろ自分の健康と周囲の状況を確認しながら3密を避けて外出も始められていることと思います。マスクとともに新しい習慣になっているのが体温測定。ご自宅でも、職場でも、学校でも出先でも体温測定は必要になりました。しかし、朝は平熱だったけど、出先で37.3℃!?そんな経験をしていませんか?大丈夫です。そこで今月は体温についてお話しましょう。
人間の体温とは?
体温は誰にでも測れる「健康の物差し」です。気温が高くなって暑くなれば手足や顔が赤くなったり、汗をかきます。寒くなれば手足が冷たくなったり震えたりします。このように私たちの体は体温を一定に保つようにコントロールをしています。
一定の体温を保っている恒温動物の中でも鳥類は40℃以上、犬や猫は38℃程度と人より高く、体が小さい方が体温が高くなる傾向があります。日本人の成人の平均体温は36.89℃と言われますが36.6℃から37.2℃の間とかなり幅があります。乳幼児の体温が37℃以上あっても普通です。年齢とともに低下傾向になります。ご自分の平均体温をこの機会に知っておくといいでしょう。平熱より明らかに高ければ発熱していると考えます。
体内の温度の測定場所と測定時間
体内の温度は手足に近いところは低く、環境温度にも影響を受けます。体の中心部に近いとこでは高く安定しています。体内の温度が反映される場所で測るのが一般的です。
- 脇での検温方法
脇の窪みの中央に体温計の先端をあてます。体温計が上半身に対して30度くらいになるようにピッタリ当てて脇を閉じ肘を脇腹に密着させます。手のひらを上向きにすると脇がしっかりしまります。電子音がなるまでじっとしていましょう。
- 口での検温方法
舌の裏の奥にあるスジの横に体温計の先端をあてます。口をしっかり閉じて体温計の先が動かないようにしましょう。電子音がなるまでじっとしていましょう。
- 耳での検温方法
耳式体温計をしっかり耳に入れます。スタートボタンを押すときに体温計が動かないようにしましょう。
また、早朝は低く、夕方には高くなる体温リズム「概日リズム」があります。運動、食事、生理周期や感情変化などで変動します。時間帯ごとの平熱を知っておくことも大切です。
体温計について
体温計には実測式体温計、予測式体温計、赤外線体温計の3種類があります。
- 実測式体温計 実際の体温を測るタイプで脇、口の中のどちらも測定可能
- 予測式体温計 短時間で平衡温を予測し数十秒タイプで脇専用、口中専用
- 赤外線体温計
耳式体温計、額式体温計など1〜2秒で測るタイプです。赤外線センサーで熱放射を検出して体温を測定します。非接触タイプで衛生的に使用できるものが現在コロナ対策として活躍しています。外気温と室内温度に差がある場所に移動した直後は室内の温度に馴染んでから測定する必要があります。
自分の体調を知ること
今年になって外来患者さんがご自分の体温、健康状態、行動などよく話されるようになりました。今まではご自分の健康に無頓着で医師まかせであった方々に意識や行動の変化が生まれてきたことをとても嬉しく思います。ご自分の体調変化を知ることはまさに病気予防の第一歩です。今月はインフルエンザの予防接種が開始されます。正く恐れて、賢く予防、穏やかで楽しい暮らしを見つけていかれますよう応援しています。